最近、マインドフルネスに興味を持つ人が増えてきています。
心の健康を整える方法として、瞑想や呼吸法を取り入れる人も少なくありません。
でも、トラウマの経験がある人にとっては、一般的なマインドフルネスが逆に苦しく感じることもあるんですよね。
そんなときに注目されているのが、「トラウマセンシティブ・マインドフルネス」です。
トラウマとマインドフルネスの関係
マインドフルネスは、今この瞬間の感覚や感情に注意を向けて、それを評価せずに受け入れるという実践です。
私もはじめは「ただ座って呼吸するだけで、本当に気持ちが落ち着くのかな?」と半信半疑でした。
でも続けていくうちに、日々の忙しさの中で感じていた焦りやモヤモヤが少しずつ和らいでいくのを実感しました。
ただ、すべての人にとってマインドフルネスが安心できる場所とは限らないんです。
過去のつらい経験やトラウマがあると、静かな時間の中でその記憶がよみがえってしまうことがあります。
そうなると、リラックスするどころか不安や緊張が強まってしまうんですね。
トラウマセンシティブ・マインドフルネスの基本
そんなときに大切になるのが、トラウマに配慮したマインドフルネスのアプローチです。
これは、「安心・安全」を第一に考えて、自分の感覚や気持ちに優しく寄り添いながら進めていく方法です。
無理に「今ここ」に集中しようとせず、心や体がついてこないときは、無理せず距離をとってもいいという考え方がベースにあります。
初めてこの考え方に出会ったとき、自分を責めなくていいんだと心からホッとしました。
自分のペースでいいんだよ、という優しいメッセージがこもっているんですよね。
ポイント① コントロール感を大切にする
トラウマセンシティブ・マインドフルネスでは、自分で「やるか・やらないか」を選べることがとても大事です。
マインドフルネスの誘導を受けているときでも、「今、つらくなってきたな」と感じたら中断してもいいんです。
むしろ、自分でそう決められることが回復への一歩になることもあります。
私は、最初のうちは5分も続けられないことがありました。
でも「今日はここまで」と決めてあげることで、自分を守れているという実感が得られました。
ポイント② 安心できる環境で行う
心が敏感になっているときは、周りの音や光、匂いなどにも影響を受けやすくなります。
だからこそ、少しでも安心できる空間でマインドフルネスを行うのが大切です。
部屋の照明を落として、好きな香りをほんのり漂わせたり、膝に毛布をかけたりするだけでも、安心感がぐっと高まります。
私自身は、お気に入りのクッションを背中に置くだけで、落ち着きやすくなります。
ポイント③ 身体感覚への気づきは慎重に
一般的なマインドフルネスでは、「呼吸に意識を向けましょう」「体の感覚をスキャンしてみましょう」という誘導がよくあります。
でも、トラウマの影響で体の感覚に敏感になっていると、それが苦痛に感じることもあるんです。
私は呼吸に集中しようとすると、逆に動悸がしてくることがありました。
そんなときは、視覚や聴覚など、比較的安心して使える感覚に意識を向けるほうが効果的です。
ポイント④ 評価しないことを意識する
マインドフルネスの核にある「評価せず、ただ気づく」という姿勢は、トラウマセンシティブな実践でも重要です。
「うまくできなかった」「また集中できなかった」と自分を責めるのではなく、「そう感じた自分がいるんだな」と受け止めるだけでいいんです。
最初は難しく感じても、少しずつ「これでいいんだ」と思えるようになってきます。
私は、その変化を体験できたとき、少し心が自由になった気がしました。
トラウマセンシティブ・マインドフルネスの注意点
この方法を取り入れるときには、いくつか気をつけたいことがあります。
ひとつは、無理をしないことです。無理して続けてしまうと、逆にストレスが強くなってしまうことがあります。
少しでも「今日はやめておこう」と感じたら、その直感を大切にしてほしいなと思います。
もうひとつは、自分ひとりで抱え込まないこと。
安心できるセラピストやサポーターがいると、気持ちの揺れにも対応しやすくなります。
私はあるとき、セッション中に涙が止まらなくなってしまったことがありました。
でも、安心できる存在がそばにいてくれたことで、「ここにいていいんだ」と感じることができました。
マインドフルネスのポイント
マインドフルネスはとても有効な手段だけれど、それを「誰にでも簡単にできるもの」として扱ってしまうと、大切な部分が見えなくなってしまいます。
トラウマを抱えた心には、その人だけのリズムがあります。
焦らず、そのペースを尊重しながら進めていくことが何よりも大切です。
私も、「みんなはもっとできているのに」と思ったことがあります。
でも、そう思っている自分の気持ちを大切にすることで、少しずつ気持ちがほぐれていきました。
自分に優しくなるマインドフルネス
トラウマセンシティブ・マインドフルネスの一番の魅力は、自分に優しくなるきっかけをくれることです。
今まで無意識に我慢してきたことや、自分を後回しにしていたことに気づいて、「もう少しだけ、自分を大切にしてもいいかも」と思えるようになります。
私にとっては、それが何よりも大きな一歩でした。
実践するうえで大切にしたいこと
このマインドフルネスを取り入れていく中で、大事にしているのは「自分との対話」です。
今日、どんな気分なのか。何が心地よくて、何が嫌だったのか。
ちょっとしたことに気づくだけでも、自分への理解が深まっていくのを感じます。
誰かと比べる必要はまったくなくて、「今の自分」をそのまま見てあげることが、心の回復につながっていくんだなと思います。
まとめ
トラウマセンシティブ・マインドフルネスは、ただのリラクゼーション法ではありません。
それは、自分自身と新たな関係を築くためのやさしい扉です。
うまくできなくてもかまいません。むしろ、その「うまくいかなさ」の中に、大切な気づきがあることもあります。
私もまだまだ模索中ですが、そんな自分をまるごと受け入れるようにしています。
今この記事を読んでいるあなたが、少しでも「やってみようかな」と感じてくれたらうれしいです。
そして、もし不安を感じたときは、どうか無理せず、ゆっくりと自分のタイミングで進んでください。
心の安全が第一です。どんなときも、自分にやさしくあってほしいなと思います。
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